サイバーフィジカルシステム(CPS)の本質は、モデル化

サイバーフィジカルシステム(CPS)の本質と未来像

最近、いろいろなところで、サイバーフィジカルシステム(CPS)について、説明がなされていますが、ニュアンスがそれぞれ異なります。

 

そこで、サイバーフィジカルシステム(CPS)の本質とは何かを、考えてみました。

 

サイバーフィジカルシステム(CPS)の本質は、現実世界をコンピュータが扱いやすくモデル化すること。

 

そして、現実では実験できない条件も含めて全ての条件から、最適解を導き出すことではなか、と思います。

 

POS[販売時点]データを解析するのも、特定商品の購入者をモデル化していることを意味します。

サイバーフィジカルシステム(CPS) 本質

 

サイバーフィジカルシステム(CPS)を、理解しやすいように、狭い範囲で考えてみます。

 

具体的には、上図のように、現実世界の自動車のエンジン部品(シリンダーブロック)を、コンピュータが扱える3次元データにモデル化します。

 

そうすることで、パソコン上で構造解析ができるようになります。

 

強度などを、現物を作らなくても、いろいろ、寸法を変更して検証することができるわけです。

 

いろいろな寸法の現物を作って実験する必要がないため、時間と材料の節約になります。

 

費用的にも、現物を作るための材料費や人件費に比べて、3Dモデル化するソフトウェアのほうが安いです。

 

具体的には、この3Dモデル化するソフトウェアは、CAD(Computer Aided Design)になります。

 

また、3次元モデルにすることで、現実世界では実現できないような条件での検証も可能になります。

 

航空機メーカーや自動車メーカーは、現物を使っていろいろ実験すると、膨大な時間とコストがかかるため、積極的に、サイバーフィジカルシステム(CPS)を利用しています。

 

試作レス(試作をなくす)して、作業効率を高めて、新商品開発の期間を短くすることができます。

 

上記では、あくまでも、商品の設計工程に、サイバーフィジカルシステム(CPS)を適用した場合です。

 

サイバーフィジカルシステム(CPS)と言えば、難しく聞こえますが、簡単に言えば、シミュレーションです。

 

現実世界をモデル化してシミュレーションするわけです。

 

また、ソフトウェアとして、コンピュータが扱えるモデルにすることで、熟練者のノウハウを蓄積することができます。

 

熟練者のノウハウを蓄積できれば、非熟練者でも、似たようなモデルにおいて、最適解を導き出せるわけです。

 

具体的には、自動車のドアは、車種によって異なりますが、熟練者のノウハウが蓄積されているので、非熟練者でも、簡単に、ドアの設計ができるわけです。

 

つまり、サイバーフィジカルシステム(CPS)を使うメリットは

  • 現実世界では実現できないじょうな条件での検証が行える。
  • 現実世界と比べて、短時間で検証できる。
  • 現実世界と比べて、コストが安い。
  • 熟練者のノウハウを蓄積できる。

になります。

 

時間とコストが削減できるだけでなく、非熟練者でも、最適解を求めることができる、ということは、極端に言えば、バイトの人でも設計ができることを意味します。

 

つまり、これまでは、熟練者の仕事だった業務が、非熟練者でも行える業務に変わることを意味します。

 

また、熟練者のノウハウは、サイバーフィジカルシステム(CPS)の中にブラックボックス化されているため、ノウハウが流出することもありません。

 

これは、工作機械や半導体製造装置と同じことを意味します。

 

ちなみに、工作機械や半導体製造装置に熟練者のノウハウが蓄積され、非熟練者でも熟練者並の仕事ができるようになりました。

 

その結果、新興国でも、先進国並の製品が簡単に作れてしまうため、EMS(電子機器受託製造サービス)や半導体専業ICファンドリーメーカーが台頭してきたわけです。

 

世界最大のEMSは、台湾のホンハイ(鴻海)精密工業であり、世界最大の半導体専業ICファンドリーメーカーは、台湾のTSMC(台湾セミコンダクター・ マニュファクチャリング・カンパニー)が急成長したことからも、よくわかります。

 

サイバーフィジカルシステム(CPS)は、商品の設計や製造装置だけでなく、商品開発業務や運用・サポート業務全体の最適化を目指しています。

 

こう考えると、インダストリー4.0は、商品開発業務の最適化で主導権と取ろうとしており、GEやIBMは、商品のユーザー側の運用・サポート業務の最適化で主導権を取ろうともくろんでいるように思います。

 

マイクロソフトのウィンドウズやインテルのCPUが、パソコンではなくてはならないものになったように、全産業にとってなくてはならない基盤になり得る可能性があります。